ブエノス・アイレス → イグーアスー
<イグアスーへ>
アルゼンチン航空の737は、滑走路端で目一杯エンジン・パワーを上げてからブレーキを解除し、フル加速した。滑走路から離れたと気付かないうちにもう急角度に機首をもたげて空へと昇り始めた。イグアスーへの出発だ。四十年以上前、まだ幼い子供の頃に初めて写真を見た時から、必ず訪れようと心に決めていた場所だ。今回の旅は元々チリ、ボリビアをベースに計画しており、イグアスーは「また今度」と考えていた。だが、来て見るとチリは意外と魅力に乏しく、最後の旅程でサンチャゴへと南下する気持を失ってしまった。ルートを再検討しているうちに『イグアスーへ行こう!』と気持ちが高まり、とうとうボリビアでエアチケットを購入してしまった。ラパスからイグアスーへはブエノス・アイレス経由しかなく、ならばというので一泊半程度のブエノス・アイレス観光も追加した。
今回は金遣いが荒い。現地へ来てからエア・チケット購入が多いのだ。そもそも今回の旅の目的は、十二年前に敗退した四千メーター級の高地、ペルーからボリビアを経てチリに至る地域だった。インカ(および先インカ)最南部の遺跡とウユニ塩湖だ。ここにパタゴニアとイースター島を加えたのだが、それにしても最初の目的地と追加した二箇所のいずれの間も、極端に距離が離れている。南米は観光地間の距離が遠い上、アンデス、ジャングル、極地地形といった理由があって、短期の移動手段となるとどうしても航空機になる。旅程変更をする度に航空券を購入する破目になる。
737は、イグアスーに近付くと、滝の上空に接近して機体を傾けて周回してくれる。三ヵ国の国境地帯なので、厳密にはブラジル、パアグアイの上空を侵犯している事になるが滝観光で成り立っている地帯だけにうるさく言わないのだろう。
滝のブラジル側も訪れるために、空港に着いてインフォメーション(と思ったら実は旅行社)で聞くと、ビザは直ぐに取れるから今日中にブラジル側行くべきだと言う。高いツアーも勧められたけどそれはパスしてミニバス乗ってconsulate(領事館)へ行く。(ミニバスの料金払う時に昨日のタクシーで偽札掴まされてたのが判明!ボケたカラーコピーじゃん!でも紙質は本物とそっくり。暗い車内だと区別つかんよな。どうりで運ちゃん良く喋りかけてきやがった。タンゲリヤの黒服が差配したタクなのに!ゴテたから意地悪されたのか?)領事館に十時半に着いてビザ申請すると、二時間後に来いと言うから「12:30か?」と聞くと「11:30だ」という。オヤジ、どうも十二時で領事館閉めるのを忘れてたようだ。危ない、危ない。暇そうで他にする事無さそうだったけど。最初に二時間後が十二時過ぎるって気付いてたら「明日!」って言われたかも。入国ビザ A$180!!約\7,200!高い!
ビザ発行を待つ間に宿を探す。ロンプラに載ってたホステル探してたらHIがあったのでそこに入る。まだ時間あるので街に出る。帰国までにC$(チリ・ペソ)余りそうなのでA$(アルゼンチン・ペソ)に両替して(安すぎ!66.6円/A$!メンドーサまで行ったら少しはましだった?)インフォメーションでブラジル側行きのバスを聞いて、さっきとは別の両替屋でA$→Rs(ブラジル・ルピー)とUS$→A$ してから、領事館へ戻ってビザを受け取る。
今日は朝からクッキーと機内食(ミートパン?)しか食べていない。領事館からの帰りにスーパーでサンドイッチ二つとヨーグルト買ってきて、食べながら荷解き&準備。その後ブラジルへ。国境はアルゼンチン側はイミグレ通ったけど、ブラジル側は通らない。なんで?一旦全員降ろされたものの、大荷物の米人二人が別方向へ向かわされただけで他はすぐにバスに乗って出発。ブラジル側の街まで行ってから、乗り換えるつもりだったけど、その手前で何人か降りてイグアスーとか言ってる。「イグアス・フォールか?」と聞くと道の反対側を指差す。んで、ここで降りて待つ。でも、バス、ナカナカ来ない。ツーリストのミニバスらしきのが止まり、スペイン語を話すオジサンが交渉して、全員乗り込む。Rs2。公園へ着き、歩く。流石に昨晩体調悪いまま夜遊びして睡眠不足なだけにしんどい。
<イグアスーの滝 ブラジル側>
ここは滝も素晴しいけれど、鳥や動物や昆虫も素晴しい。遊歩道のゴミ籠がごそごそと動いていて何かと思えば白黒縞のふさふさした尻尾が揺れてる。アライグマ?遊歩道を横切る姿を見ると眼に隈取のある盗人顔で割と胴が長い。変わった模様の蝶。最近Webで確認用に入力要求される文字みたいに歪んだ「88」が翅にある。モノクロ模様に赤のアクセント。
帰りは一般バス。現地の人沢山。乗換駅を教えて貰って街の手前で降りるけど、今度は一人。来た時の場所より少し国境寄り。もう座り込みたいくらい疲れてる。さっさとアルゼンチン戻って、夕飯食って薬呑んであと食料買い込んで帰ろうと思うが、スーパー行ったらセルフサービス販売があったんで、ビーフ煮込、ライス炒め、ラビオリを買い、ホステルで食べる事にする。ところが、帰り着くとあまりにしんどく、頭痛もひどくて、ベッドに横になるともう起きられない。何とかクッキー食べて薬呑んでシュラフ出してベッドの上整理して寝る。結局翌日十二時近くまで寝てしまう。本日の収支はえれえ好い加減にしかつけられなかった。C$,A$,US$の間を何度も両替したうえに、この頭の状態じゃね。
イグアスー
<イグアスーの滝 (アルゼンチン側 一日目)>
十二時前に起きて出ようと思うが、シャワー浴びてヒゲ剃って歯磨いてロッカーのキー借りて(シャワー浴びてる間に消えてしまったのだ)てしてたら午後一時になった。結局一時二十分のバスで出る。アルゼンチン側観光ポイントの一つ、サンマルタン島へ渡るフェリーが午後四時過ぎに終わるようなので、そっちの観光を先にする。エコ電車でカタラタス(滝)駅まで行き、公園周遊路をサンマルタン島行フェリー乗り場まで急ぎ目に歩く。フェリーというか渡し舟でサンマルタン島へ渡る。いきなり急な登りのある島だ。つか、滝を形成する何段もの崖の一部が千切れて孤立して島になってるのだ。上に登って反対側まで歩き、下からの滝の景観を楽しむ。
ところが、戻ってみると悪魔の咽笛行き列車は四時十分が最終だった!明日行ければ行こうと考えて割引スタンプを貰っておく。
ルート88蝶はこっちにも沢山いる。それから木ノ葉の擬態した蝶、嘴の赤い鳥、カラフルな鳥、ワニ(これは金曜だけど)、騒々しい二匹の猿、などなど。
帰りのバスで、韓国人、日本娘(仙台人)と話す。(日本語)
頭痛は軽くはなったけど、まだなくならない。動いている方が楽。軽いときは、眼を上に向けた時の程度の痛み。
イグアスー → メンドーサ
<イグアスーの滝(アルゼンチン側 二日目)>
朝、六時半には起きられなかったけれど、四十五分ぐらいに起きる。体調良さそうなので、見損ねた悪魔の咽笛の遊歩道に行く事にする。起きてシャワー浴びてヒゲ剃って荷物まとめて朝食作って食って、フロントで錠返してデポ$5返して貰ってバス停に急ぐ。時間無かったのでパン二個食わずに台所に残してきて、フロントでも錠の落し物が無いかも聞かなかった。ところが、7:20発40着と思ったバスは7:10発40着で既に出た後、次の8:10まで待つ破目になる。急いだ意味無かった。五十分遅れだけど、観光する時間はOK。ガイドに書いてある遊歩道の所要二時間なんて全然不要。行って帰るだけなら三十分。
イグアスー滝のメイン「悪魔の咽笛」は、上から見ると一層凄い。六百円(+二百八十円)払って来た甲斐はある。というか、ここに来なきゃあ意味無い。ブラジル側の、直下からの広大な滝の眺めや、森林と崖の一帯を巡る遊歩道に次々と現れ激しく飛沫を上げる滝。それも充分感動ものだけど、広大な川の上を島から島へと長く続く橋を歩き(途中でワニも見た!)「悪魔の咽笛」の上、突端に作られたプラットフォームに辿りついて得られる景観は別世界だ。遥か下へと落ち込む滝とそこに群れ飛ぶ鳥達。雲のように湧き立つ飛沫(しぶき)の中にダイブし、そして遥か下から舞い上がってくる彼らは雄大な景観の中では黒い点と化して蝿のようにちっぽけだ。舞い上がる水飛沫は風向きの変化と共に滝の上へと押し寄せて観光客を水浸しにする。そして陽光を受けて現れる虹。この景観を見ずにイグアスーを去るべきではない。(危ないところだった。)
<メンドーサへ>
カナダ航空(帰国便)の recomfirm をしないまま七十二時間前を過ぎていたのに気付く。明日のMendoza→Santiagoバス予約も早くせねばならない。もう帰国まで三日残ってないのに、南米大陸の真ん中辺に居て移動手段がどれも確定していないのだ。
──帰国便の recomfirm はイグアスー空港の電話で完了した。でも、アンデス越えてSanchiagoまで行く手段は未確定。(ま、いつでもこんなもんだけど)
なんか知らんけど飛行機メチャ遅れ。アルゼンチン航空、スケジュールより遅れた上に、その遅れた出発時刻になって初めて搭乗開始してる。あれれ、なんだ?結局 Austral(別会社)の機材使うの?機体にAustralって書いてあんだけど?……でも反対側には Aerolineas Argentios と書いてある。どうやら国内線が AEROLINEAS ARGENTINOS AUSTRAL らしい。機材はなんと MD80 だ!La Paz からこっち、映画設備のある飛行機に乗ってなかったけど、とうとうこのレベルかよ。結構距離あるんだぜ、イグアスー メンドーサ間って。
機上から珍しい景色を見た。空は全然赤くないのに、地平線を覆う雲の下部の切れ目から夕焼け色の帯が覗いている。そして暫くするとそこに綺麗な夕焼のグラディエイションが現れた。既に落陽後かなり時間が経っていて厚い雲の上は藍色なのに。
バカボケダボのアルゼンチン航空のお陰でメンドーサ着は20:10を過ぎた。これだけ遅れたのにサンドイッチとジャーキー・サンド・カラムーチョ(って味のスナック)しか出てこない。一時間四十分もあったらもっと出せんか?メンドーサ空港にはツーリスト・インフォメーションがなく、レミース受付で街までのバスを聞いたら案内してくれたんだけど、TAXIの客引きに『バスだと一時間かかるぞ』と言われてTAXI(12.0)にする。
街に着き、とりあえず、「歩き方」に載ってたWINDSORを訪ねる。シャワーが冷たいが朝九時にはCALIENTEだと言うので、$30で入る。その後、明日のサンチャゴ行バスを確保するため、直ぐにAGENTを捜しに出るが、夜九時になってしまう。i(Ticket Office)も開いてない。かろうじて開いてるTourist見つけたら、BUSは扱わないのでANDES MAR に行くようにと言われる。
一応行ってみるがちょうど閉まる所。明日土曜は朝九時から。遅すぎ!!……腹が足りてないけど、具合が余り良くないので、中華料理店が無いか捜す。けつねかカレーライスでも食いたいところだ。「歩き方」に載ってた店は超はやり店で、土曜日午後五時のファミレス状態。店外に十数人待ってる。結局、大きくてサンチャゴのデパートみたいに清潔なお店、ロモバーガーで済ます。でも、10.7も使っちまった。
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